神社仏閣・その他地域−1
身延山久遠寺・行学院覚林坊(宿坊)−旅行記 | |
日蓮宗の総本山、身延山妙法華院久遠寺(みのぶさんみょうほっけいん久遠寺)。13世紀後半、日蓮聖人が身延山に入ってから、当初の久遠寺は現在、御草庵跡がある西谷にありました。その後15世紀半ばに第11世法主・行学院日朝上人の代に現在の地へ遷りました。日朝上人の行学院は今回、お世話になった宿坊です。 | |
|
|
日蓮宗総本山の山梨県、身延山久遠寺へ1泊旅行して来ました。身延駅からバスで約15分、終点の身延山で降りて商店街をのぼっていくとどーんと三門がそびえてます。電車で旅行なんて久しぶり〜! | 三門をくぐると正面の参道横に竹之坊という塔頭があります。紅葉がきれい。 |
|
|
参道をまっすぐ行くと、これまたどーんと目の前に立ちはだかる急な石段、菩提梯287段。1段の高さは膝下分くらいある、なんともハートブレイクな階段です。横には男坂と女坂という迂回路。 | 南無妙法蓮華経になぞらえて7区画に分けられている石段を登りきれば、涅槃の本堂に至ることが出来、悟りの悦びが生ずるそうです。救急車の世話にならずに登りきれた喜びは得られるかもしれません。見下ろすとこんな感じです。膝が笑って手がぶれます。 |
|
|
菩提梯をのぼりきって左側(本堂手前左)は工事中。130年ぶりに復元される予定の五重塔だそうです。 | 本堂です。堂内は撮影禁止。中には入れます。 本堂の地下に宝物館があります。書がやはり多いです。入り口に日蓮上人立像がありますが、等身大だとしたら155センチくらいの身長で、かなりお顔の大きい方のようです。仏壇の日蓮上人像もお顔がすごく大きいのでそうだったのでしょうね。鎌倉で日蓮上人辻説法の図などを見ていた印象では、結構すっきり、お目目ぱっちりの美形系お坊さんという印象があったのですが。 |
|
|
本堂外から撮影。お仏壇は中心に「南無妙法蓮華経」の文字と日蓮上人の像。最上段は2体の如来と、趣の違う如来(だと思う)が4体。4隅には四天王像。中段には不動明王(黒)と赤い明王系のどなたか。下段には普賢菩薩と文殊菩薩。全体、金ぴかです。 | 本堂おとなりの祖師堂。こちらは装飾の色彩がはっきり。獅子や象、金亀に鶴、子鶴など動物の彫刻が可愛いです。祖師堂は祖師の御霊が住まうところとして、棲神堂とも呼ばれています。 |
|
|
有名な枝垂桜が境内に何本かあります。桜の季節は本当にどれだけきれいかと想像してしまいます。左後ろに見えるのは報恩閣。祈祷受付をするところです。 | 御真骨堂。背後に仏舎利塔のような塔がそびえてます。 |
|
|
仏殿はぽち好みの古い黒っぽくなった木のままの建物です。となりにある客殿は低く大きくて、広い境内で目立ちました。 境内では他に大鐘、時鐘、水屋、札場、開基堂、釈迦殿、休憩所、甘露門などがあります。 |
久遠寺の境内から身延山ロープウェイ駅へ。「ぼたん号」という名前は写真を見て気づきました。小さいけど定員は45名! 最大33度の傾斜、高さ1153mという山を奥之院駅めざして登って行きます。 |
下を見ていたら、黒っぽい動物を発見。地肌が見えるぼさっとした感じの毛や体型はいのししっぽい。自分の目が信じられず(野生の猪を見た事がない)、体型は変だけど犬かな?と思っていたら、ロープウェイガール?さんが「このあたりは猪や鹿がたくさんいます」とアナウンスしてました。やっぱり猪だったようです。ワーイ天然黒猪見ちゃった♪ 針葉樹が多くあまり紅葉しない山だそうですが、所々きれいに色づいてます。 |
降りてすぐ、ロープウェイ駅の2階で湯葉うどんを食べました。あたたかくておいしい〜。端の席からは山を見下ろす景色が見られます。外に出るといきなり息が白い…たぶん気温は6〜7度。 |
|
|
奥之院思親閣。堂内へはあがれません。 | 思親閣から少し歩くと北側展望台。天気が良ければこのボードにあるような景観が望めるようです。雲がおりてしまっていてほとんどわからずでした。そういえば、晴れていたらロープウェイから富士山が見えるそうです。 ロープウェイに乗る時に配られた干し梅。おいしかったので帰りに奥之院駅の店で買おうか迷いました。 |
|
|
ロープウェイでおりて、そのまま西谷とよばれる側を歩いて日蓮上人の御廟所・御草庵跡へ。せせらぎの聞こえる雰囲気ある中を通っていくと…いきなり、白装束の大集団に遭遇しました。 「一般のお客様が通ります!道をあけてください!」と拡声器などで声がかかると、大人数にもかかわらず整然と道が開けて行きます。さすが本格的な参拝者さんたちです。 境内にいる時から遠くに「なーんみょうほーれーんげーきょー」と独特の節回しで合唱(?)が聞こえてました。みんなでお題目を唱えながら歩いています。メロディは「どーらーどーれーどれーれー・みみれどれれ」(高い方のドからミと普通のラで南無妙法蓮華経を2回)、一緒に口ずさんでしまいそうです。 |
日蓮上人のお墓です。向かって左手に御草庵の跡地が玉垣にかこまれてありました。 ここからは三門の前を通って商店街から、東谷の日朝通りを上って宿坊へ。思ったよりも坂がきつく距離がありました。 |
やっと辿り着きました、行学院覚林坊さん。思えば菩提梯もどの坂もずーっと2リットルのペットボトルを入れた荷物を持って歩いてたぽち。やっと荷物から解放されました。 | 宗門中興の祖である日朝上人が開基の塔頭で、久遠寺の賓客をもてなしてきたそうです。 |
定員150名、客室20の大きな宿坊です。1階は団体さんが入っているそうで、個人客は私たちだけ。2階の角部屋へ通されました。10畳のおへやで床の間つきです。パンフレットにも載っているお部屋なのでラッキーでした。 | お隣との境はふすまだけ。大人数なら一部屋に早変わりですね。お庭が一望できる縁側はすべての部屋ぶち抜きです。他のお客さんがいないので気兼ねありませんが、沢山の宿泊客がいる時に真ん中の部屋だと現代人には落ち着かないかもしれません。 |
元禄15年完成の夢想国師作の庭園を部屋の窓から。広いですが、歩けるところは少しだけでした。 1階の団体さんは白装束の方々です。ちびっ子やティーンもいてちょっと驚き…家族ぐるみで信仰してるんですね。この方たちは夕食が4時頃から。行学院の境内を散策して団体さんの食事中に私たちは先にお風呂へ。入浴剤のワイン湯でした。 |
お庭の高台に日朝上人のお堂・日朝堂があります。寝る間も惜しんで宗門興隆に勤めた為、眼病を患いましたが信仰の力で克服、以降眼病消滅の願をたてられ、その祈祷をこの日朝堂で行うそうです。宿坊では「日朝水」という目薬が売られています。商店街では朝光水という目薬がありますが、日朝水はこちらだけ。 |
期待のゆば御膳〜。これは最初にセッティングされていた状態です。まさに湯葉尽くし。このあと、揚げ物や納豆と湯葉をからめた小鉢や、百合根しんじょう、お吸い物にかやくごはん、デザートが出てきました。お盆にある丸いのがデザートの豆腐プリンか何かかと思っていたら、ゴマ豆腐でした。デザートは3種盛りでした。 すごくヘルシーな素材ばかりなのに、おなかいっぱい。4時半から食事(早っ!)を始めたのに、早食いの私達が1時間半も費やしてました。 覚林坊ご住職の奥様オリジナルのゆば料理で、どれもこれもおいしくて、特に揚げ物が絶品でした。季節によって内容が異なるので、違う季節でもいただいてみたいです〜。 ちなみに湯葉御膳は完全な精進料理ではないので、精進料理が食べたい人はそちらを選んだほうがいいです。 明日の朝の勤行は6時からということで、5時起きの予定。下の団体さんは早くに静かになっていて、私たちも普段では信じられない11時頃には就寝しました。 |
朝5時に起きるつもりが、下の団体さんが4時頃から身支度を始める音で目が覚めました。布団の中で5時までゆっくりしてたら、団体さんが4時15分に「いただきます!」、4時半からお題目を唱和。私たちが起きる時には七面山をめざして出発されました。 5時40分に宿坊のお庭側から久遠寺へ向かい、甘露門から境内へ入りました。すると正面の仏殿を、墨染めの衣を着たお坊さんたちが仏殿内の灯りにシルエットを浮き出して行進してました。 JRのCMにでもありそうなビジュアルにデジカメをかまえて急ぎ足で近づきパチリ。それを見た地元のおじさんに「すごくいいタイミングだったねー」と声を掛けられました。 白い着物のお坊さんが正面になったのはわかったのですが、どうやら赤い着物に帽子(?)をかぶったお坊さんが法主さんだったようです。法主さんが正面にいらしたところをタイミングよく撮った模様です。ラッキー♪ |
そのおじさんに次のシャッターポイントを教えていただきました。赤い着物に赤い袈裟の方が法主さんです。 |
本堂への渡り廊下を進まれています。うっすら赤い着物の法主さんが見えます。 |
9時半頃チェックアウトして、もう1度甘露門から久遠寺境内へ。商店街が開くくらいまで境内で過ごしました。男坂を下って三門を出て商店街でおみやげを物色。 大きくてきれいなアメジストのジオード(晶洞)があちこちのお店に飾られてました。水晶のクラスター(群晶)とか以前だったら欲しくなるようなものもたくさん。山梨の観光地って感じですね。 おみやげには、「帆立のワイン煮」「ゆばたまり漬け」「上人せんべい」や「乾燥ゆば」などを買いました。身延駅前でまたも「湯葉」丼をランチにして、特急を待つ間、ぶらぶらしてました。イメージを統一した街づくりをしているようで、建物にはりつけられた大きな家紋を見ているのが楽しかったです。富士川沿いも整備されてました。 |
身延駅前の整備された通りに建っていた子之神社。由緒書きなどは特に見当たらず。子之神ってよくわかりません。養蚕とかの神様として祀られてるのは聞いたことがありますけど。 |
味にこだわった宿選びをすることの多いぽちですが、これほど満足したお食事の宿に出会えるのは数少ないです。塔頭・宿坊として由緒あるお宿に食事だけで語るのはなんですが…。身延山はお寺も商店街の方なども感じがよくて親切でした。すべてに印象良く、また訪れたいところです。とっても楽しい旅行でした。 宿坊・行学院覚林坊:http://www.fujikawa.or.jp/~higuchi/kakurinbo/ (湯葉御膳コース1泊(朝食付)1万円) 久遠寺公式HP:http://www.kuonji.jp/index.htm 身延山:http://www.minobu.info/ 久遠寺:山梨県南巨摩郡身延町身延3567 有料駐車場あり 覚林坊:山梨県南巨摩郡身延町身延3510 無料駐車場あり 2007年11月16日(金)・17日(土) |