鎌倉三十三観音霊場巡礼記−1

第一番〜第六番



 第一番 大蔵山 杉本寺 (天台宗) 十一面観世音      

 

 

 道路からすぐに入り口、山門があります。   説明板の先に伸びる階段の途中で拝観料200円を払います。 これは本堂の内覧券になっています。ここにおかれているペーパーに載っている略縁起。杉本寺の名前の由来やご本尊の由来が興味深いです。 

 

 

 仁王門をくぐると、右手に大蔵弁財天と弁天池があります。池は小さくてもひんやりした風を運んでくれていました。  正面には緑色に苔むし石のすりへった階段がありますが、こちらは通行止めなので左手をのぼります。 反対側は下山道。

 

 

 茅葺の観音堂です。鎌倉最古という雰囲気があります。   下山道側から見るとより趣があります。こちら側に鐘楼があり、鐘をつくことができるようでした。戻り鐘にならないように先にこちらへ。 

 

  

 正面はこんな感じ。お札などがいろいろ飾られていて、にぎやかに歴史を物語ってます。その奥には売店の商品が並べられています。振り返ると苔むした石段の横に手水があります。観音堂へ上がる前に、お線香とろうそくセット100円を購入。   次に売店でグッズをそろえました。売店と言っても納経所でもあります。こちらの女性に半袈裟のかけ方を教わったり、納経をいただきました。写経はご本尊の前にボックスがあるので、そこへ入れるようにと教えていただきました。


 先にご朱印(納経印)をいただき、内欄券を入れて本堂へ。おびんづるさんを発見!ご本尊である3体の十一面観世音菩薩は秘仏です。しかも行基作の観世音菩薩は袈裟をかぶった覆面ですって。年中行事にはご開帳がないので何年かに1回とか?ガラス張りのずっと向こうのご本尊に向かい、初めてソロでお経をあげました。仁王さんや地蔵菩薩、見る事の出来る十一面観音は運慶作。ご本尊3体が秘仏でも見ごたえがありました。
 拝観料:200円 納経:300円 ろうそく・線香セット:100円 お賽銭:10円 2007年8月27日(月)
    

 第二番 金龍山 宝戒寺 (天台宗) 准胝観世音    

 

 

 鶴岡八幡宮前から金沢方面への道の突き当たりに宝戒寺があります。杉本寺からは鎌倉駅に向かって戻る道になります。   北条氏の屋敷があった場所で、一族が滅びた後にその菩提寺だった東勝寺を移したのが始まり。昔は七堂伽藍もある大きなお寺でした。もとの東勝寺跡はここからすぐの山中にあり、概ね「腹切りやぐら・北条氏滅亡の地」と呼ばれています。以前行きましたが、天気のいい昼間でも空気が冷たく重く感じられる場所で、個人的には鎌倉最恐スポットだと思ってます。(三浦一族滅亡の地も怖いですが) 

 

 

 緑が多く、先が見えません。拝観料(ここも内覧券になってます)100円を払って進みます。  本堂が見えました。うっそうとした緑はこのお寺の有名な白萩。 

 

 

 今は百日紅が咲いています。鐘楼がありますが、鐘をつくことはできません。残念。   「萩の寺」として名高く、白萩が見事だそうで、再度訪れましたが時期が遅く、萩は終りかけでした。冬は椿が100種類以上の花を咲かせるそうです。(2007年10月13日) 


 本堂の前でロウソクとお線香(ここも100円)を灯して中へ。お寺のご本尊は地蔵菩薩。本堂へあがって左手が札所本尊の准胝観世音になります。納経所は本堂入ってすぐの右側。どなたもいらっしゃらず、少し待っても気配がないので本堂手前のろうそく立てをお掃除されてた方に声をかけました。その方から納経印をいただき、いろいろとお話も聞かせていただきました。たぶん、ご住職。写経もこちらで手渡ししました。本来観音さまは女性でも男性でもない存在ですが、ほんのわずか、女性性が確定された観音さまが「佛母」と呼ばれるそうです。こちらの観音さまはその日本でも数少ない「佛母」だそうです。お寺のご本尊は地蔵菩薩ですが、「鎌倉大聖天」として聖天さまがまつられ、本堂向かって右側に聖天堂があります。聖天さまのご他聞に漏れず秘仏です。鎌倉七福神の毘沙門天や境内の太子堂には聖徳太子もまつられています。  
 拝観料:100円 納経:300円 ろうそく・線香セット:100円 お賽銭:100円 2007年8月27日(月)
    

 第三番 祇園山 安養院 (浄土宗) 千手観世音         

 

 

 お寺の由緒はやや複雑ですが、源頼朝の菩提を弔うために北条政子が開基となり、願行上人を開山として建立され、政子が埋葬された後、法名をとって安養院と称しました。江戸時代に全焼、再建の折に比企ヶ谷の田代観音堂を境内に移し、田代寺ともよばれています。山門で志納100円を払って入場。鐘…見当たりません。無いのかも。   ここは本堂にあがれません。扉の前で写経をおさめ、お経を唱えました。そのあと、土足厳禁の階段に靴を脱いで上がり、ガラス越しに中をのぞきました。裏手の庭に北条政子のお墓があり、そちらへ向かう側の方が中がよく見えました。 

 

 

 左側が北条政子の墓です。ちなみに政子の墓は鎌倉五山第三位の寿福寺(鎌倉三十三観音の第二十四番)にもあります。  宝篋印塔は尊観上人の墓と伝えられているそうです。安養院が鎌倉時代に兵火で焼失した際、善導寺跡へ移っていますが、その善導寺の開山が尊観上人です。 

 山門横から寺務所へ行き、呼び鈴を押して出ていらした女性の方から納経印をいただきました。こちらは12時から1時がお昼休みなので、訪れる方は注意が必要(見るだけなら関係ありません)。 
 入場:100円 納経:300円 お賽銭:10円 2007年8月27日(月)
    
 第四番 海光山 長谷寺 (単立・浄土宗系) 十一面観世音 

 

 

 長谷観音として有名なお寺です。以前は本堂へ向かう境内の階段沿いに沢山の水子地蔵があったと記憶してますが、階段途中の地蔵堂のあたりだけに整備されてたり、観音堂のある広く見晴らしのよい境内もすっかりきれいで安全になってました。この門の左側に有料駐車場も完備されてました。   階段の手前にある涼しげな池。

 

 

 池から弁天窟方向へ行くと、写経・写仏場が建っていました。予約なしで直接申し込めます。   弁天窟。長谷寺で1番好きな場所でしたが残念ながら点検中のため中に入れず。岩窟の中に弁財天とその眷属である十六童子がぐるりと彫られています。 

 

 
 階段をのぼるとお堂が並ぶ見晴らしのよい境内に出ます。これは観音堂です。   観音堂のおとなりに阿弥陀堂があります。その奥に鐘楼。鐘はつけません。 

 

 

 この厄除け阿弥陀如来坐像は、源頼朝の厄災消除祈願に造立されたものだそうです。鎌倉六阿弥陀のひとつだそうです。  観音堂です。中は撮影禁止。入り口前でお線香を焚きました。観音さまは9mを超す日本最大級の木彫仏です。大きさだけなら大船観音を見慣れてますが、木像で錫杖を持って岩座にすっくと立つお姿には圧倒されます。宝戒寺で聞いた佛母の話じゃないですが、長谷観音はやや男性的な感じがします。

 

 

 輪蔵(まわり堂)があって、まわすことができます。蔵内には一切経が納められており、時計回転方向へ押して1回転させると一切経を一通り読んだのと同じ功徳があるそうです。ひとりでまわすのは重い!  観音堂のある境内から由比ヶ浜をながめます。眺望散策路をのぼればもっと見晴らしが良いと思いますが、暑いのでパス。   

 観音さまの前にある三宝に写経をおさめて端の方でお経を唱え、観音堂入り口横へ戻って受付で納経帳を出しました。観音堂から出口方向に宝物館がありますが、休館でした(月曜休館?)。おとなりに大黒堂があります。鎌倉七福神の大黒様です。
 拝観:300円 納経:300円 お賽銭:10円 お線香:50円 2007年8月27日(月)
    
 第五番 満光山 来迎寺 (時宗) 如意輪観世音  

 

 

 西御門の住宅地にある来迎寺。西御門という地名は、大倉幕府(御所)の西側の門があったことに由来しています。   階段が続きます。この左側にある建物の玄関で納経印をいただくことになります。

 

 

 階段を上ると右手に墓地が広がり、左手に本堂が現れます。   本堂正面。扉が閉まっていて、「拝観希望の方はインターフォンで」と貼り紙がされています。美術鑑賞目的を否定されている旨の断り書きもあり、拝観する時は「正座、合掌、礼」をするようにと書かれていました。 


 インターフォンを押すと、窓から見えた女性が扉を開けてくださり、拝観料200円を払って中へ。内部は撮影禁止。お灯明とお線香に料金はありませんが、太いロウソクも消灯していて、マッチも湿気ているのか点きません。2本マッチを折ってしまったので断念してお経を唱えました。正面右が札所本尊の如意輪観世音。美術的鑑賞はいけませんが、美しくすてきな観音さまには心をうたれました。すべてがやわらかなラインを描いていて、慈悲がとてもありそう。救済を求めるならこういう観音さまに、と心から頼りたくなる雰囲気をお持ちでした。 納経は下の玄関でインターフォンを押すことになります。本堂の女性が渡ってこられて、納経印をくださいました。
 拝観料:200円 納経:300円 お賽銭:10円 2007年8月31日(金)
    

 第六番 錦屏山 瑞泉寺 (臨済宗円覚寺派) 千手観世音 

 

 

 オウバイが有名な庭園は季節問わず、お花が咲いていて見ごたえがあるお寺です。   開山の夢想国師が禅の道場として、岩盤や山の地形を工夫して築かれた庭園だとあります。 

 

 

 鐘はつけません。手前に「あうんの象さん」(勝手に命名)がいます。  二層屋根の本堂はわずかに中がのぞける程度に扉が開かれています。ご本尊・釈迦牟尼仏に札所ご本尊・千手観音がまつられています。中に入っての拝観はできません。 

 

 

 「どこもどこも」(どこに行っても同じ、逃げるだけの人生になる)と、地蔵守りをいさめたという由来のある木像地蔵菩薩立像(どこもく地蔵と呼ばれている)のお堂です。   水月観道場の窟。右手に半分見えるのが坐禅窟です。池にかけられた橋から山の上への道は通行止めになっています。この道は、十八曲を経て絶頂にへん界一覧亭があったと伝えられています。(*へんの字は行にんべんに扁) 


 入り口から山門までにある階段は新しいまっすぐのものと古い迂回する階段。古い方は苔がはえ、石が磨り減っているのでこちらを上りにした方が安全かもしれません。本堂につながる玄関で「ここから大きな声で声をかけてください」とありました。大きな声で「ごめんくださーい」と呼んで見えられたご住職に、写経をおさめ納経帳を渡しました。ここで失敗〜。小銭が無い!納経帳を載せてこられたお盆に納経料(志納)をおさめるのに、千円札をのせると恐縮されてしまいました。小銭がないのでと話すと、「多くいただいて申し訳ないので」と一筆箋を2セットくださいました。瑞泉寺箋という本堂とお花のきれいな写真が刷り込まれた便箋です。ありがたく使わせていただきます。 
 拝観料:100円 納経(志納):300円(+700円) お賽銭:10円 2007年8月31日(金)
    

 
 
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